文部科学委員会発言集


159回 文部科学委員会 20号 2004/05/19

○池坊委員長 加藤尚彦君。

○加藤(尚)委員 長時間の中での審議でありますけれども、きのう我が党の須藤議員が近藤局長に、長い文部職員としての思い出というか、いわば長く職員をやってきて幹部になって、そしてというお話の中で、その部分だけ結構和やかな顔で、今のような顔で答弁していらっしゃいましたけれども、質疑に対しては非常に真摯に答弁されているという評価をします。

 この際、大臣は、文部省そして文科省の生え抜きといいますか、政治家としてエキスパートという評価があるわけですけれども、文部、文科と続いて、委員とかあるいは政務次官とか副大臣とか大臣とか、大変な経歴なんですけれども、その中で、長くやっていらっしゃって、きのうのお話の中でも、議員立法で先生になる条件として一週間ぐらい介護の研修をしてこいという、議員立法で決めたことが今でも続いているということなんですけれども、いろいろあると思います。その中で、須藤議員が質問したように、私、大臣にも質問させてもらいたいと思います。

○河村国務大臣 私、地方議会も十四年、それで国会に出させていただいて十四年と、ちょうど今半々のところに来ておりますが、地方議会におきましても文教委員長等も歴任をさせていただいて、そういう問題に取り組んでまいりました。

 そういうことで、国会に出ましても教育関係を中心に取り組んできた、これは事実でございますし、そういう思いで来たわけでございます。今改めて大臣の職についてみて、この教育問題の難しさ、責任の重さをかみしめておるようなわけでございます。

 そこで、私も具体的に政策を実行する立場に入ってまいりましたのが、平成十一年の十月に総括政務次官を、小渕内閣のもとでございました、中曽根弘文大臣のもとでございました。

 そのときに取り組んだのは、やはりこれからの教育で、教員の質を上げなければいかぬし、教員を確保しなければいかぬという問題がございました。財務当局がその当時、子供の数がだんだん減ってきたんだから当然先生の数も減るのが当たり前だ、公務員だ、こういう意見を強く言ってまいりましたものでありますから、いや、文部科学省は、当時文部省でありますが、これに絶対負けてはならぬ、とにかく教員の先生を減少するようなことを、我々がそれに応じたら、今の教育、特にこれは一義的に文部省にも大きな責任があることかもしらぬけれども、不登校の問題はいじめが大きい、これに対応しようとすれば、これは相当先生を確保しなければいかぬ、それからさらに先生の質を高めようとすれば研修にも出さなければいかぬ、そうすると、先生の余裕を持っていなければとても対応できないという思いがございました。そういうことで、これはとにかく頑張らなければいかぬということで、時の小渕総理にもそのことも強く申し上げました。

 一方では、民主党からも三十人学級、こういうような強い要請もあって、これにこたえるだけの、与党としてどう対応するんだという問題もあったわけであります。そこで、加配制度とかそういうものを大いに活用して少人数教育をやろうということになりまして、少なくともやめていかれた先生の分だけはきちっと確保するということによって、結果的に増員ということをとった。

 これは私は、もっと本当は、次にすぐ森総理になりましたから、森総理もずっと文部大臣経験者でありますから、教員の数を三十人、もっとがんとふやすのかと思ったらそこまでいきませんでしたが、少なくとも教員数を減らさないという方向を打ち出してもらった。これは私、非常に印象に残っておったことでございます。

 また、その当時から食育という問題は、言葉にはなりませんでしたが、学校栄養教諭の制度の問題がありまして、総括政務次官当時に、内部でもこの問題に前向きに取り組もうということを当時の局長が決断をいたしまして、本格的に学校栄養教諭を入れるにはどういう点を協議したらいいかということをずっと検討してきて、今日ついに、私が大臣のときにこの制度ができたということも非常に印象に残っておりますし、喜んでおります。

 と同時に、大学をもっと変えなければいかぬ。このままではまさに象牙の塔になっていて、まさに学校間の切磋琢磨もないし、国家公務員としての身分に安住している部分があるのではないか。

 また、地域との連携、特に、これからの科学技術の振興等を考えたときに、地方との連携、産官学の連携、こういうものをもっと自由にやらなければいけませんし、また、せっかく大学が持っている知的所有権、そういうものが社会に転換できない、こういう問題をもっとやろうということで、国立大学の法人化という大きな問題、これも実現ができたということでございまして、これも私にとっては非常に印象的なことでございました。これは遠山大臣のもとでございましたが、この答弁は確かになかなか厳しいものがありまして、成立までかなり苦労した思い出がございます。

 いずれにしても、これからの課題もこれから大きいわけでございますが、今いろいろな方々の意見を聞いていても、日本の国民といいますか次の時代を担う子供たちを、表現は悪いんでありますが、劣化させてはいけない、日本全体を、そういう意味でやはり教育をしっかりしなさいという声がもうちまたに満ちていると思いますね。これにどうこたえていくか。やはり国の役割、義務教育に対する憲法の精神の役割をきちっと守りながら、そして今回のこの法案にあるように、やはり地方、現場の声、とにかく現場の声が生きるような学校、そして教育の現場、そういうものをどんどんつくっていくということがこれから大事になってきております。

 一方では、経済財政諮問会議等々から、日本の財政のことを考えたときに、あるいは地方分権を考えたときに、もっと教育の効率を上げろ、教育に財政的な色合いというものが非常に深く入ってきつつある、これにどう向かっていくかということもやはり大きな課題でございます。

 特に、義務教育費国庫負担制度の堅持の問題等々についても、かなり厳しい圧力があります。現実にある。それはやはり教育の効率化であり、地方分権だと言われるけれども、これはややもすると経済論が優先している嫌いがある。これに教育論をどうやってきちっと位置づけていくか。やはり教育の大事さというもの、いま一度そのことをもっと強調しながら、国民的なコンセンサスも得なければいけない。

 一方では、教育の根幹を考えるときには、やはり、教育の根幹と言われる教育基本法という大きな課題がございます。そこまで踏み込んで教育改革をやっていくという大きな使命、課題があるということも意識をいたしておりまして、ちょうど戦後のあらゆる改革の中で一番根幹になる教育改革というこのときに、これまでの体験を生かさなければいかぬと思っておるわけでございます。

 まさにこれは議会の皆さんの御協力や、あるいはいろいろな御指導、そういうものを受けて、まさにそれぞれの地域を代表して出ておられる皆さん方が教育に、特にこの委員会には真剣に取り組む方が希望して委員会に入っておられますから、皆さんのそういう思いといいますか、それをしっかり受けとめて、国の施策の中でそれをいかに生かすかということが私の使命であろう、このように思っておるところであります。

○加藤(尚)委員 時間が一時間ということですから。とはいえ、やはり僕はこういう委員会で、担当の者とかあるいは大臣、副大臣に、この委員会での最高リーダーとして常に意見をこれからもお尋ねしていきたいというふうに思います。

 大臣、戦後の改革は、すべて日本の子供たちが幸せにすくすくと、それで、将来社会人として国家を担うという大変な大きな期待をするわけですけれども、その上での改革の中で、一方では、小中高の暴力行為が、例えば平成十四年、十五年を見ても一向に減る傾向にない。若干減ったりふえたりというのはありますけれども、暴力行為は全国で三万八千件、恐らくもっとあると思います。あるいは出席停止の命令を受けた子供が三十七件とか、あるいは校内でのいじめが四万件近いとか、あるいは自殺についても減る傾向だけれどもまだなくならないとか、不登校についても十三万件とか、中途退学とか、いろいろあります。

 いずれにしても、この思い、大臣ほか担当局の皆さんの思い、あるいは文科委員の人たちの思いとは別に、青少年の不良行為というか青少年犯罪というものが一向に減らないという現実もあるわけです。そのことを踏まえて今度の法案が、一つ重要な法案が生まれてきたというふうに私は理解しております。

 そして、その上でですけれども、僕は、チャータースクールとかプライベートスクールとか、いろいろな外国の、イギリスもそうですけれども学校理事会ですね、いろいろなことを学ぶ、世界に学ぶことはたくさんあると思います。とはいえ、日本のコミュニティー、今回出された法案で拡大解釈するといわゆるコミュニティ・スクールですけれども、これはもう江戸時代からさかのぼって物すごい歴史があると思っているんですよ。

 例えば、江戸八百八町じゃないけれども、南町奉行、北町奉行があって、そしておかっぴきが、つまり警察官ですね、それぞれ南町奉行所あるいは北町奉行所に十数名しかいないんです。それで百万人の治安、防犯をやってきたわけですね。

 なぜそんなことができたかということですね。もちろん凶悪犯罪もあったし、いろいろな犯罪も江戸時代にもあったと思います。でも、子供の犯罪というのはもう比べ物にならないぐらい少ないというデータもあるんですけれども、それはなぜかということですね。それはやはり地域の中で子供を大切にしたということがあるし、あるいは家庭では、父親、母親がけんかしても、最後は父親が母親に謝るとかね。

 僕なども、三十五年の結婚生活の中で、大ざっぱに計算すると、三十五年だからもう一万数千日だけれども、その間で一週間に一遍けんかしても千八百ぐらいけんかしているんだけれども、僕は千八百回、全部女房に謝っているんですよ。ああ、僕が全部悪かったということでね。そうすると、家庭円満で、子供も結構、一人娘だけれども、僕には厳しく、母親に愛情があってということでね。

 やはり、いずれにしても、家庭そして地域、それが江戸時代は意外に定着していたというんです。八つぁん、熊さん、あるいは近所の御隠居さんとか、あるいはお寺さんのお坊様とか、いわば寺子屋とか、あるいは地域学校とか、そんなのがあった中で、意外に、百万人の人口で、おかっぴきが十数人で江戸の治安を守ってきた、防犯してきたということを見ても、今は異常事態だというふうに思います。ですから、法案審議の中で日本のよさというものをやはり懸命に文科省は伝えなければいけないと思っている、日本はいいところなんだと。

 でも、こういう子供の犯罪が、不良が減ることはなくてふえているということはどういうことかというと、やはり社会がちょっと悪いんです。地域はほとんどいい。例えば、自治会、町内会でも、ここに資料があるけれども、一つきのうも発言がありましたけれども、結構、町内会長以下役員さんたちがボランティアで一年じゅう働いているんですよ、地域のために。ですから、地域は、自治会、町内会を中心に、学校を中心に、結構歴史があるんです。後ほどちょっと触れてもいいんですけれども、秋津小学校の例もそうなんだけれども、地域はしっかりしている。でも、社会が悪いんです。社会が悪いということは政治が悪いということになってしまう。だから、物すごい重大な責任があるというふうに思いますよ。

 例えば、子供が一歩出れば、家庭の中、家庭でも悪い家庭はたくさん最近出たようでありますけれども、地域の中には、少なくとも自分たちの子供ということで、ボランティアの人たちが交通整理をしたり、あるいはあいさつをかけ合ったり、元気で行ってこいよとか、あるいは帰ってきたらお帰りとか、そういうことを地域でやっているのをたくさん僕は目にしているんですよ。そういう意味で、地域はまあまあだ。

 ところが一方、その先へ出ると、結構いろいろな問題がある。前回も指摘したように、子供がたばことか飲酒とか、あるいは麻薬とか、そういう誘惑だらけの社会なんです。これを退治しなきゃいけない。これを退治するのは、地域だけではとてもじゃないけれども守り切れないけれども、実は守れると思っているんです。それはよい子供を育てるということだというふうに思います。

 その意味で、大臣、大臣のこの法案に対する、どういう思いで出して、そしてこれがどういう成果、結果を生むか、改めて、手短にお話をしていただければと思います。

○河村国務大臣 先ほど五反野の視察の体験の話もちょっとさせていただきましたが、今の教育でいろいろな問題点があること、御指摘のとおりでございます。

 これにどう立ち向かっていくか、当面の、今の不登校状態、そういうものを課題に取り組むと同時に、国家百年の大計である、まさに心の豊かさをどう取り戻すかという、それはさっきおっしゃったように、日本の歴史をずっと考えてみたときに、江戸時代のようなあの勧善懲悪の考え方というものが非常にあって、社会がそれをちゃんと守っており、見ていた。もちろんその中には泥棒もおったし悪いのもいたけれども、非常に厳しい罰則もあったんですね。そういうこともきちっとやりながら社会を構成してきた。

 そういうものが、だんだん規範意識が薄れてきたというところに大きな問題、これはやはり戦後の教育、戦前の教育と戦後の教育、いろいろ言われますけれども、ある意味では、それの反動的なものもそこへ出てきた。自由平等、それには義務、責任が伴うんだということがきちっと位置づけがされておったかどうか。そういうことが今の現実のいろいろな社会の緩み、規範意識の崩れ、やはりいろいろな意味で教育に及ぼしておるんではないか、私もそう思っております。

 一方では、こういうふうにマスコミも発展してまいりまして、マスコミの影響というのも非常に大きいわけですね。バーチャルな世界が入ってきた、そのことについて、むしろ国民の意識の方がそれについていけない。よしあしの善悪がそういうものだけで判断されるようになってしまった。

 家庭の中の教育力も落ちている。加藤先生のような御家庭でしたら、子供さんはやはりそれを見ていますから、ちゃんと親子の関係、夫婦の関係、どうあったらいいかということを知らず知らず学んでいくわけですね。私も、幸い四人の子供がおったものでありますから、逆に子供から教えられることも非常に大きいわけでありますが、一方では、やはりこの夫婦関係が次の世代、それがまた次の世代に及ぶんだということも考えながら、時々反省することが多い。私も、どっちかというと謝る方が多いので、ほとんど謝っていると言ってもいいかもわかりません。

 そういう思いを感じながら、今回、まさにアメリカ型のチャータースクール、いろいろな意見もありますが、やはり日本型のものを求めていこうということで、今回のコミュニティ・スクール、名前もコミュニティ・スクールという横文字を使うのがいいかどうか、これはもうそれぞれの地域にお任せするけれども、地域が中心になって運営をしていただく。

 しかし、教育の中立性とかいろいろな問題もありますし、これまでの制度からいって、教育委員会がやはりちゃんと中に入ってその運営を一緒にやっていく、それによって地域のよさを引き出す。日本のこれまで培ってきたよさがそこへ生きていかなきゃいかぬ。まさに地縁血縁を大事にしてきた日本の社会、そういうものがやはりそういう教育の現場にも生かされてもらいたいし、そういう思いも今回あるわけでございます。

 今回の法案の一番大きなねらいは、やはり地域の声といいますか、そういうものがこの学校運営に反映できるかどうか、これに私はかかっている。そのことによって、地域あるいは家庭も含めての教育力を高めることができるかどうか、その使命がやはりこの新しい試みの中にあると思います。さっき申し上げましたように、指定校的なものはわずかでありますが、今後これが全体的にふえていくことによって、そういうことをやらない学校もそれに見習おうという動きが出てくるであろう、こういう期待感もここにある、こういうことでございます。

○加藤(尚)委員 長所をさらに生かしていく。確かに、きのうの参考人の二人の先生も、お一人は七十五点の法案だ、お一人は六十点と。多分、結構甘い部分もあるんですよ。でも、少なくとも、第一歩を記したということは物すごく大きな評価があっていいと思っています。

 要は、この法案をいかに多くの人たちに理解してもらって、それを地域の中でしっかりと根づいた、要するに、学校というのは地域があっての学校だ、学校は地域があってから、こういうお互いさまという考え方を定着していくといいな。それは、短所はいっぱいあるんですよ、法案を見てもいろいろ言えることはあるんだけれども、そんなことは後でいいんです。今は、スタートしたことを中心に、これをよりいい法案にしていこうという考え方で進めていくんです。

 学校評議員制度は、三万五千校のうちの六〇%というから、二万数千校が緒についたばかり。例えば、神奈川県の例で言うと、県立高校も、あるいは神奈川県下の市町村も一〇〇%、平成十六年度で一〇〇%、評議員制度、名前はいろいろですけれども、スタートしたばかり。この上の法案ということで、若干リサーチしたんですけれども、戸惑いもあるんです。弱ったなと。去年から始めたところ、ことしから始めるところ、これからだと。そういう矢先の法案だから、まず評議員制度をしっかりやらせてくれればよかったのにという、そういう陰の声もあるということはぜひ知っておいてもらいたいんです。

 その上で、一つだけ質問したいのは、六〇%というんですけれども、上位三県、下位三県、もしわかっていたら、局長、お願いいたします。

○近藤政府参考人 お答えをいたします。

 学校評議員につきまして、平成十五年七月現在では、全国平均では六二%の公立学校に設置をされているわけでございますが、県立学校あるいは指定都市立の学校では、上位は、岐阜県、島根県、広島県など三十の県市で一〇〇%設置をされているわけでございます。一方、導入が進んでいない県市、固有名詞を挙げますと、千葉県、福井県が〇%、福岡県が一・四%ということでございます。

 小中学校などの市町村立学校でございますが、設置率の高い市町村では、佐賀県内九五・七%、高知県九四・七%、神奈川県、これは十五年七月の数字でございますので九〇・三%ということです。設置率の少ない市町村でございますが、富山県内が六・〇、山梨県内で一三・五、岩手県内の市町村では一七・三%、こういう状況でございます。

○加藤(尚)委員 神奈川県は平成十六年で一〇〇%というふうに答えを聞いているんですけれども、若干ずれがあるかもしれない。

 でも、ゼロ%もあるということだし、物すごく設置率が悪いところについて、別にこの評議員制度はないけれども、ほかのことで間に合わせているということもあるかもしれない。そういう意味で、ゼロはちょっと異常かもしれないけれども、あるいは一〇%、二〇%は異常だと思いますけれども、その原因、要因について把握していらっしゃいますか。

○近藤政府参考人 お答えをいたします。

 私ども、平成十二年の制度導入以降でありますけれども、都道府県の教育委員会の関係者からヒアリング等を行っているわけでございまして、理由といたしまして、導入が進んでいない都道府県からは、今先生御指摘になりましたように、以前から、学校評議員とは異なる方法でありますけれども、住民の意向を把握する取り組みがあって、あえて学校評議員制度を導入する必要性を感じていない、こういったようなお答えでありますとか、これは少し私はいかがかと思っていますが、他の地域の状況を見きわめた上で導入したい、こういうような事情がある、こういったお答えをお聞きしているところでございます。

○加藤(尚)委員 了解しました。

 これからいよいよコミュニティ・スクールですから、今までとは違った取り組みも、やはり地方の教育委員会にゆだねるといっても、ばらつきがあったり、受けとめ方があったり、プライドがあったり、いろいろなんです。やはり国の指針として、方針として、法案ですから、周知徹底する努力をあらゆる方法でしてもらいたいと思います。

 次に、先行事例、先ほどから論議されていますけれども、この法案に当たって、七地域九校ということなんですけれども、三十件の応募があったということなんです。先ほども、田島委員の質問に対して、バランスを考えてということで九校に絞ったということなんですけれども、でき得るならば、三十校全部やってもらった方がよかったんですよ。たとえ地域に偏ったっていいんです。少なくとも、三万五千校のうちの九校でしょう。そうすると、この法案をつくるためには余りにも事例が少ないような気がします。算数でいえば〇・〇二ちょっとぐらいだろうと思うんですけれども、ちょっと事例が少ない。

 少ない中で、九校については、後で聞きますけれども、予算措置もしたわけですけれども、先行事例という意識についても、だから、先行事例の中で手を挙げて実際に実験校になってやったところについては、大臣のお話もあったように、結構一生懸命やったと思うんです。いい結果が出ていたと思うんです。それを、だからこの法案を出したということに直接的にならないかもしれない。むしろ課題の中で少なくとも実験校、でも、その実験校は余りにも少ないなというふうに思いますけれども、局長、どうでしょうか。

○近藤政府参考人 お答えをいたします。

 私ども、このいわゆるコミュニティ・スクールの検討に当たりまして、こういう実践的なモデル校での成果というものをもちろん大切にしたわけでございますし、それから、中央教育審議会でも大変な御議論をいただきました。あるいは、アメリカのチャータースクールにつきましては、委員の方々にも御視察もいただき、その問題点等も調べてきたわけでございます。また、イギリスの学校理事会制度につきましてもいろいろと研究をさせていただきました。

 そういったいろいろな研究とこの九校の実践研究校の成果をあわせまして、こういった制度設計をしたわけでございまして、私は、これは実験研究開発学校でございますから、必ずしも数が少ないということではないというふうに考えておるところでございます。

○加藤(尚)委員 その九校ですけれども、質問通告していませんけれども、評議員制度をすべて導入している学校ですか、あるいは導入していない学校があるかどうか、お答えください。

○近藤政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと今事前に調べていなかったものでありますからあれですが、学校評議員制度を従来から持っていて研究開発を行った学校、それから、従来からは学校評議員を置いていたわけでございますけれども、国からの研究開発学校に指定をされたということで、名称はともかくとしてそういう学校協議会と申しましょうか、運営協議会と申しましょうか、そういった形で合議制の機関として、校長との関係でありますとかいろいろなことについて研究をしてみよう、それを置きかえた、こういう研究開発学校もあったかと記憶をいたしております。

○加藤(尚)委員 ちょっと予算のことについても聞きたいんです。平成十四年からですけれども、二千五百万とも二千二百万とも聞いているんですけれども、この七件九校での実験校としての予算は幾らだったんですか。

○近藤政府参考人 平成十五年度の予算額で申し上げますと、二千六百四十二万一千円ということでございまして、七地域九校でございますから、大体三百万円余りの予算措置をなしたわけでございます。

 この金額が高いか低いかといろいろ御議論はあろうかと思っておりますが、私どもは、新しいタイプの学校運営のあり方に関しまして、その制度化も視野に入れた実践研究を行う、こういうことを目的として措置をした、こういうことでございます。したがいまして、これらの研究開発学校では、いろいろな会議を行ったり、あるいは資料を作成したり、そういう意味では若干の経費がかかったのではないのかな、こんな印象を持っております。

○加藤(尚)委員 一校当たり三百万程度ということなんですけれども、これはそれぞれの手を挙げた学校は、実験校として指定された学校は、恐らく学校自体が予算化したのか、あるいは地域の教育委員会がこれだけの予算でやりなさいよと言ったのか、どうでしょうか。

○近藤政府参考人 これは、国がお願いをしてこういう実践研究をしてくださいということでございますから、当然、お金を支出委任という形でお願いをしておるわけでございます。

 例えば、運営会議のそこでの出席謝金あるいはいろいろな公開研究のまとめ、報告書、こういったようなものは国から、今申し上げましたように一件当たり三百万円ぐらいでございますけれども、お願いをしておるわけでございます。実際、これらの学校がございます県と、私ども、これを指定し、実際に授業を展開するときには都道府県とよく御相談をさせていただきながら、どういった形で研究していくのかということを話し合いをした、こういう経緯がございます。

○加藤(尚)委員 言いにくければお答えしなくてもいいかもしれないけれども、それぞれの実験校、九校あるわけですけれども、この法案の協議会を前提とした委員は、各学校平均して大体何名ぐらいですか。

○近藤政府参考人 ちょっと今手元に資料を持ち合わせておりませんが、私の記憶では、各学校、名前は学校理事会とか協議会とかいろいろあったかと思いますが、その理事は十五名前後、十五から二十人ぐらいじゃなかったかなと記憶をいたしております。

○加藤(尚)委員 一校当たり三百万で、これも通告をしていないから、もしわかったらでいいんですけれども、十五人から二十人ということなんですけれども、手当ては出されたんですか。

○近藤政府参考人 新しいタイプの学校運営の実践研究ということでございまして、例えば謝金ということで、学校運営協議会委員への謝金、あるいは外部から先生に来ていただきましていろいろお話を聞く、そういったときの外部講師の謝金、こんなようなものも支出をさせていただいておるところでございます。

○加藤(尚)委員 実験校ですから、テストですから、文科省も力を入れた、地域の教育委員会も力を入れた、そして指定された学校も力を入れた、その成果はたくさんあると思うんです。その中で、共通して、例えば秋津小学校のことがよく例に出されます。

 それで、秋津小学校については、千葉県の習志野でしたか、新しい団地の中で新しく生まれた学校ということですね。最初は、殺風景だし、地域の中でなじんでいないし、子供も不安の中で学校へ通っていたということですけれども、その中で見聞きした話として、その秋津小学校の学区内のおじいちゃん、おばあちゃん、おじいちゃんは久我喜代次さん、そしておばあちゃんは近藤ヒサ子さん、もう既に二人とも他界されていますけれども、おじいちゃんはじゃんけんおじいちゃん、お掃除おじいちゃんとかいって、おばあちゃんは種まきおばあちゃんと言われて、その学校の中でこつこつ毎日、雨の日も風の日もとは言わないけれども、子供たちの通学のときに立ちどまって、おいおい、何とかちゃんと言って、じゃんけんぽんとやりながら親しんでいった。

 そういうのを見ながら、保護者、PTAが、ああ、あのお二人の遺志を継いでいこうということで、いわゆるPTAが本物になってしまった。PTAがそのおじいちゃま、おばあちゃまの姿を見ながら、いわゆるボランティアの姿を見ながら、自分たちの学校だ、自分たちの子供だということで、どんどんいろいろなことをし始めた。結果的に、テレビとか雑誌とか新聞とか、いろいろなところに取り上げられるようになった。今度の新しい学校運営のあり方についてもモデル校になった。やはりすばらしい学校ということなんです。

 その中で、秋津小学校のことは私もよくわかったわけですけれども、局長、他の八校で、例えば際立った、秋津小学校に相当する、匹敵する、あるいはそれ以上の、今度の実験校として何か生まれ出た成果があったら教えてください。

○近藤政府参考人 一つは、やはり先ほど来大臣から御答弁をさせていただいています東京都の足立区立五反野小学校、ここは、民間人校長も公募で採用しておりますし、それから、イギリスの学校理事会をモデルにいたしまして、この学校理事会にかなりの権限を与えている、そういったことでも、この九校の中ではやはりかなり先導的な試行をされたのではないかと思っております。

 そのほかにも、三重県の津の南が丘小学校、ここも民間人校長を採用すると同時に、地域による学校の経済的な支援のあり方の研究もなされております。

 それから、岡山県の岡山市の場合は、これは中学校と小学校二校の三校がいわばセットになりまして、小学校と中学校との、あるいは幼稚園との連携、先ほど来先生御指摘になっておりますような不登校問題等への取り組みでありますとか、小学校と中学校との連携、これもなかなか難しい課題があるわけでございますけれども、そういったいろいろな取り組みをされている。

 こんなところが頭にちょっと思い浮かんだところでございます。

○加藤(尚)委員 取り組みについても、僕は、指定校になったから急に新しいものをどんどん出したということではないと思います。常日ごろそれぞれの学校で、手を挙げるぐらいだから、指定されるぐらいだから、自信を持って私は指定校になったというふうに、実験校になったというふうに思っています。

 その中で、指定されたことによって新しく生まれた一番大きな成果というのは、今おっしゃったように足立区の例じゃありませんけれども、校長の公募制ですね。これは九つのうちで幾つか出されているようだし、また中には、その学校でボランティアというものを一つテーマにしようという意見もあちこちの学校であったように聞いているんですけれども、どうでしょうか。

○近藤政府参考人 おっしゃるように、ボランティアに学校にもっともっと来ていただく、これはまさしく地域と学校との連携という趣旨にも合致をするわけでございまして、和歌山県の新宮市立光洋中学校なども、地域のボランティアの方々に授業に参加をしてもらう、また逆に生徒が地域の清掃に出かけていっていろいろと相互交流を行う、こんなようなお話を和歌山県からもお聞きをしたところでございます。

 先ほどの先生御指摘になりました千葉県習志野の秋津小学校、これはもう従前からボランティア活動は大変熱心でございましたし、この研究開発学校の成果でもそういったことを発表していただいた、こんな状況でございます。

○加藤(尚)委員 校長の公募制も、私はこれからも期待する一人なんですけれども、そればかりじゃないんです。今いらっしゃる校長先生、それなりに一生懸命みんな子供のために働いていらっしゃる、私はそういうふうに思い切りたい。

 むしろ、教員にしても校長にしても、後で質問するつもりだったんですけれども、関連で申し上げてしまうと、例えば教員の先生だったら、先ほどの介護の経験もそうですけれども、あの教員試験というのがあります。結構難しい試験なんです。それで、学校の先生になりたくてもなれない人はたくさんいる。その中から勝ち抜いてきた、学科試験は。

 面接もそうです。その面接の中身を詳しくは知りませんけれども、何人かの校長先生に聞くと、新任の先生希望の人は、もう若々しくて、使命感に燃えて、そして情熱を振りかざして、自分こそ先生にふさわしいということをだれもが言うそうです。そのことをきちっと吟味して、そして面接試験を落としたり受からせたりしているんだそうです。

 その最初の気持ち、そういう気持ちをみんな持ち続けられるかどうかという問題があって、これはきょうは質問しませんけれども、校長先生が非常に重要になってきた、この法案では。校長先生は公募でもいいんだけれども、校長もいい校長先生のとりっこじゃなくて、今いらっしゃる校長先生を学校で、あるいは地域で守り立てていくという逆の仕事もしなくてはいけない。それがコミュニティ・スクールの法案のいいところだと私は思っているんです、思いたいんです。

 近藤局長、その意味で校長先生について、知っている範囲内でいいんですけれども、どういう任用の仕方をしているか、あるいは昇格をしているか、知っていたらお願いします。

    〔委員長退席、青山委員長代理着席〕

○近藤政府参考人 お答えをいたします。

 一般的に、今校長の選任は、昇任の場合には管理職登用試験、試験を行ったり、それから今先生から御指摘がございましたように、民間人校長を含めて有資格者の中から公募をする、いろいろな方法が考えられるんだろうと思っておりますが、いずれにいたしましても、結果を踏まえまして、任命権者の判断で校長としてふさわしい方々を選任していくということが大事だろうかと思っております。

 特に、今後、学校運営協議会制度というようなものが導入をされますと、学校の校長の役割は当然高まっていくんだろうと思っておりまして、やはりそういった研修、特にこういった組織の管理運営能力の研修、資質の向上、こういうことが大切だろうと思っておりまして、都道府県の教育委員会等で、そういった校長先生も含めた方々の、教員の研修をしっかりとやっていただきたい、これはまた私どももお願いをしてまいりたいと思っております。

○加藤(尚)委員 校長の資質というのは、言えば切りがないんです。だれでもそうですね。ですから、表現は悪いけれども、やはり褒めることが、豚も木に登るとか悪い言葉があるけれども、褒めることが大事なんですよ。それは、欠点を探して、この先生は悪いとか、この校長は指導力がないとか、そこから入っちゃいけないと私は思うんです。やはり地域は先生が大事ですから、校長先生が大事ですから、むしろ、みんなでいい校長に育ってもらう、いい先生に育ってもらう、そういう考え方がコミュニティ・スクールの重要なところの一つだというふうに思っています。

 先ほど秋津小学校の例を出しましたけれども、やはり近藤ヒサ子さん、久我喜代次さん、もう亡くなられましたけれども、この二人の献身的なボランティア、そのボランティアをしている姿というのが何よりも教育なんですね、学校にとっても、子供たちにとっても。子供たちも、秋津小学校では、どんどんおじいちゃんとおばあちゃんと一緒になって参加したという話もあるようなんです。

 横浜で、時間がないからちょっとだけ簡単に例をとると、不良学校があったんです、物すごい不良学校。その区域の小学校の親たちは、いや応なくその学校に行かなくちゃいかぬ、行かせたくないと。だから、その区域ではどんどん私立に行っちゃうんです。だから、中学校の子供たちがどんどん減少傾向にあった。

 それをとめた人がいるんです。それは一サラリーマンですけれども、これはとんでもない、自分の子供も、中学校、私立に上げられるだけの資力がないから、財力がないからその学校に上げなくちゃいかぬということで、小学生を対象に自分自身がボランティア、つまり、会社の仕事が終われば、日曜、土曜日はもちろんだけれども、夜も含めて、小学校の子供たちをすばらしい子供に育てようということで、例えば、ハイキングに一緒に行こうと誘ったり、あるいは竹とんぼを見よう見まねでつくって教えたり、いろいろなボランティアをやったんです。あるいは、当然朝の間は交通整理をやったり、休みの日は、当時土曜日も学校があったわけですから、土曜日は必ず朝夕子供たちと声をかけ合ったりということで、わずか三年、五年で、横浜で最も悪い評判の中学が、最もよくはならないけれども、安心して自分の子供たちをその中学校へ上げられるようになったわけですよ。これも一人の献身的な地域のサラリーマンの人の努力だというふうに思います。

 ですから、言わんとするところは、いわゆるボランティアというのがすべてに通じる、地域のボランティアというのが、先ほど申し上げました町会、自治会もそうですけれども、地域のボランティアというのが学校を生まれ変わらせる。子供たちも参加するようなボランティア、これが先ほど御説明あったように、モデル校、実験校の九校の中で、校長先生の公募とかあるいはボランティアというのが大きなテーマで、それぞれが、おっしゃっていることにまさにずばりなんです。

 ボランティアということについて、これは大臣にお聞きするんですけれども、私は持論として、ボランティアを初等中等あるいは高校でもいいんですけれども、正課にすべきだと。これは、ただでさえ土曜日が休みで少ない時間だけれども、もう土日、特に土曜日は親も困っているんです、要するに子供の監視ができないから、親も働いているから。その意味で、このボランティアということについてあちこちで触れると、もうだれもかれもみんな賛成なんです。それは、地域と子供たちが一緒になって、やることはいっぱいあるんです。

 ですから、そういう意味で、ボランティアを正課ということを私はテーマにしている一人なんです。文科委員を特に希望した理由としては、ボランティアを正課にというのが一つございます。もう一つは、後で申し上げますけれども、読み書きそろばんをテーマにいたしております。

 その意味で、このボランティアを正課ということは、私立でも取り入れているところがあるんです。そして公立でも、正課にはしていないでも、少なくともボランティアを取り入れようとしている学校がたくさん出始めたと思っていますけれども、その辺の把握と、それからボランティアを正課にということについて御感想なり所感をお伺いしたいと思います。

    〔青山委員長代理退席、委員長着席〕

○河村国務大臣 最近、子供たちに対する、ボランティア活動といいますか、そういうものを積極的に進めようということ、これは阪神大震災のときにかなり全国からボランティアが集まっていって奉仕した、あれが一つのいい刺激にもなったと思うんですが、そういうことが大事なんだと。ですから、兵庫県は積極的にそういうものをかなり取り入れていただいております。

 これは子供たち自身も教育としてとおっしゃる。私も、福祉教育あるいはボランティア教育も含めて、そういうものをきちっと正課にすべきだ、かねがねこう言ってきておるんです。なかなかまだ正課というところまでいっていませんが、私も数字を、学校で何%やっているかということについて把握をいたしておりませんが、私は相当数の学校がこのことについては何らかの形でやっていると思います。と同時に、大人ですね、大人がやはりボランティアとして率先垂範して一緒にやっていく姿勢が非常に必要だろうと思いますね。

 実は、学校自体にももっと社会人が、周辺の社会人が学校に入るべきだということで、実は、例の緊急雇用対策のお金を使って民間の方にも随分学校に入っていただいております。あるいは特別非常勤講師制度で入っていただいておりますが、それ以外にボランティア、特に最近言われるのは、子供の読み聞かせ運動等には、保護者の皆さんがボランティアとして入ってきて、授業の始まる前に一緒にやっていただくとか、私もそれがどのぐらい広がっているかということをもうちょっと確保したいと思いますが、もう既に読み聞かせ運動等は、三万五千のうち一万校以上の学校がそういうことをやり始めたということでありますから、その中に相当ボランティアが入ってやっておられることは間違いないと思っております。

 そういう意味で、いわゆる体験活動ボランティア活動支援センターあるいは地域教育力・体験活動推進協議会、こういう推進体制を国と地方自治体が一体となって今整備を進めておりますので、平成十六年度の予算にもそうしたものに対し予算措置もいたしておりますので、おっしゃるように、本来、教育の中できちっと位置づけるということが望ましいのではないかと私も感じておりますので、今後どういう形でそれを取り組んでいくかということをさらに課題として進めてまいりたい、こう思っております。

 それから、地域の方々のボランティアを大いに進めたい、こういうふうに思っております。

○加藤(尚)委員 ついでに、一つの提案ですけれども、今、ポイントばやりじゃないけれども、子供たちに、まあパスポートカードと言う人もいるかもしれないけれども、ボランティアパスポートカードとか言っている人もいるかもしれないけれども、一番最上級はいわゆるプラチナカードとかいって、一番下はオリンピックじゃないけれども銅ですね、Cuカードとか、そういうことでボランティアを、正課にすれば問題ないんですけれども、正課の前の段階で、区別をするのはよくないかもしれないけれども、少なくとも子供は喜ぶんです。

 例えば、隣のおじいちゃん、おばあちゃんにお手伝いする、近所のおじいちゃん、おばあちゃんにお手伝いする、介護のお手伝いをする、そういう場合はそのおじいちゃんから判こをもらってとかいう、思いつきの話だからまともに聞かなくてもいいんですけれども、少なくとも何か、子供たちがボランティアが楽しくて積極的に取り組んで、しかもそれを評価してくれる人がいる、こういったことも、提案ですけれども、考えていただければというふうに思います。

 引き続き質問させてもらいますけれども、先ほどの例にちょっと戻ると、ちょっと不安なのは、この七地域九校なんですけれども、予算もかかっていると。この予算どおりということになると、例えば横浜市などは、小中で五百校ありますから、そうすると一校三百万ということになると十五億円ということになってしまう。だから、実験校だからということで、それは周知徹底しなくてはいけない。でも、少なくとも非常勤職員も入れなくてはならぬ。理事とか委員とかということで、若干の手当も考えなくてはいけないだろうということをもう想定しているんです。今、ただでさえ厳しい中で、教育予算まで削り始めているというそれぞれの自治体の予算の中で、このコミュニティ・スクールで非常勤職員ということで手当を伴うということに対して、ある意味で恐怖心を持っている教育委員会もいるぐらいなんです。

 だから、それは当然、国家予算で補って、三位一体改革じゃないけれども、地方分権といいながら、せめてこれだけは、ちゃんと実験校並みな予算あるいはそれに近い予算が出るかどうかということを不安がっていますので、答えられたらお願いします。

○近藤政府参考人 お答えをいたします。

 先ほどの予算は、これはあくまで新しいタイプの学校運営の制度化に向けての実践研究を行うということで国からお願いをして研究をしていただいた、それに要する謝金でありますとか、その他の資料の作成費等についてお金をお支払いしたわけでございますが、今回の法案にあります学校運営協議会制度は、いわゆる任意設置でもございますし、国として特に財源措置を講ずるということは考えていないわけでございまして、設置する教育委員会の適切な対応をお願いしたいと考えております。

○加藤(尚)委員 時間がないですから、質問通告した八〇%ぐらい質問させてもらいましたけれども、最後の質問に入りたいと思うんです。

 それは、さっきもちょっと触れさせてもらいましたけれども、読み書きそろばんですね。これは江戸時代にさかのぼるだけじゃなくて、一千年の歴史があると思っていますけれども、本の書き写しとか、印刷技術がないときですから。あるいは、知識のある人が子供たちを集めたり大人を集めたりして私塾をやるとか、三百藩では藩校があってそれぞれということになりますけれども、いずれにしても、その中で我が国はもう大変な歴史があって、それは特に江戸時代から明治という一大革命的改革があったときに、それを容易に受けとめて、容易に欧米に追いつけ追い越せになっていった最大の力は、私はこの国には読み書きそろばんという歴史があったからだというふうに思っているんです。その意味で、この読み書きそろばん、つまり計算、この辺についてずっと興味を持っていますので、あれこれ、いろいろな機会を求めてまいります。

 その中で、最近、川島隆太先生という東北大学の医学部の教授ですけれども、脳育ということを大変研究されていて、世界的にも著名になってきました。もう御存じだと思うんですけれども。この川島先生から私あてにファクスをいただきました。私は文科省の中で脳育ということについて今後取り上げていきたいということを申し上げてありますから、そういう意味でファクスが来たわけです。

 時間がないからはしょりますけれども、今の子供たちは切れる、あるいは引きこもる、これが青少年不良化の原因になっている、暴力につながっているんですけれども、この脳育、特におでこの後ろの前頭葉、この前頭葉の開発というのは一人でもできるし、地域でも学校でもどこでもできるんだけれども、そんなにたくさん要らない。例えば一日の時間でいうと、せいぜい一、二分、三分ぐらいで、この脳育というのは、特に前頭葉の発達というのはきわめられる、こう言っています。

 これは、読み書きそろばんのうちの、読み書き計算と川島先生は言っています、まさにそろばんなんですけれども、つまり、そろばん力というものが、私たちの日本では、だんだん教科の中で減らされている。あるいは、三年からということなんですけれども、時間もほとんどありゃしない。ところが、アジアの学校では、日本のそろばんというのはすばらしいということでウナギ登りなんです、アジアの、特にASEANでは。そういうふうに逆比例しています。

 その逆比例している中で、言いにくい話ですけれども、日本でトップクラスの大学の学力、そういういわば審査をしている団体がありますけれども、日本のトップレベルの大学、もう百番以内に入っていないというんだから、我々、一生懸命に戦後からずっと教育改革をやってきたけれども、結局、徐々に日本の子供たちの学力が下がっているというふうに言わざるを得ない。それはどういうことかというと、基本的な読み書きそろばんをおろそかにしたということだというふうに私は認識しているんです。

 ですから大臣、この読み書きそろばん論、そして川島隆太という脳育の博士が、いかに前頭葉を大事にして、それを開発して、育脳して、そして、それは難しいことじゃないんだ。簡単な算数を、昔のアチーブメントテストですよ、ずっと足していくという作業だけで子供の脳開発は物すごいと。同時に、今問題になっているいわゆるぼけの方々、ぼけという言葉は今使ってはいけないんだけれども、痴呆症の人たちもこの簡単な計算で治っちゃっているという事例もたくさんあるそうです。

 そういう意味で、読み書きそろばん論について、大臣の所感をお伺いしたいと思います。

○河村国務大臣 東北大学の川島隆太先生のお話から脳育、さらに読み書きそろばん、計算の重要性、私も、これは非常に大事なことだろうというふうに思います。

 川島先生のことを最近聞くようになりまして、私、地元からも、川島先生の今進めておられるそういうものを地域に持ち込んで、地域のNPOや何かが地域おこしにできないだろうか、川島先生を紹介してくれと言ってきておりますので、また先生に御相談申し上げますが、まさに「脳科学と教育」の研究につきましては、文部科学省も検討会を設置しておりまして、その推進方策が昨年七月にも取りまとめがございました。この報告書によりましても、反復練習とかさまざまな学習活動というのが脳機能の発達にどのような影響を与えるかという問題、これはまだまだ正確なことを解明する部分があると言われておりますが、これを受けて、ことしに入りまして独立行政法人科学技術振興機構というところで、心身や言葉の健やかな発達と脳の成長に関する研究に着手するというのを始めております。「脳科学と教育」の研究の推進を図る、こういうことで今進めたところでございます。

 また、いわゆる読み書きそろばんと言われる読み書き計算についても、新学習指導要領によっては、小学校においてそのことをやはり繰り返し繰り返しやる、これはやはり基本的に必要であるという考え方に立っておりまして、特に国語と算数については、低学年、中学年あたりは他教科と比べて多く時間を配しておりますし、特にチームティーチングとか加配、教室もそのときは二つに分けるぐらいにして集中的にやらせるとか、そういうことで今取り組んでおる学校が非常にふえておりまして、そういう方向で今進んでおるということでございます。

 そういう意味ですから、学習指導要領は不断の見直しをしていかなきゃなりませんが、特に「脳科学と教育」、この成果を踏まえた教育というものをこれからさらに取り入れるということは非常に大事なことだと、私は受けとめさせていただいております。

○加藤(尚)委員 宇宙開発でも、ミサイルは失敗ばかりしてしまっている。科学立国、教育立国というのを目指している国ですから、その割にはということで、それはなぜだろうということは、やはりしょっちゅう疑問に思っていなくちゃいけないと思うんです。

 それは、基礎中の基礎のことをしっかりやっていれば、だから知育、体育、徳育に食育が加わって、そして五番目が脳育ということになるだろうと期待しているんですけれども、それに加えてボランティア、これが加われば少子高齢化も怖くないし、いい社会になります、いい日本になるというふうに私は思っている一人であります。

 その意味で、今後、脳育ということについて、脳育なんて言うと、ちょっと何となくロボットかみたいでいけないんだけれども、そうじゃなくて、そんなに難しく考えなくていいと思います。ただ単に、計算に強い子供たちを育てようというだけで片づけられるというふうに思います。

 これは知っていらっしゃるだろうと思うんですけれども、和算の館というのは、これはホームページで抜いたんですけれども、近藤局長、和算の館というんです。これは江戸時代に、読み書きそろばんの中でもそろばんを各地域で競うわけですよ。今でいうと、そろばんで微分積分を解決しちゃおう、そういう努力をした歴史があるんです。

 それで、何で和算の館かというと、算額といって、自分が難しい問題を解いた、そうすると神社仏閣に奉納するわけです。それが掲げられるわけです。それをみんなが見るんです。ほう、あの隠居さんは大したものだとか、あの人は大したものだということになる。それで、どうしても自分で解けない場合はやはり神社仏閣に額を出すんです。この問題を解ける人がいたらぜひ解いてくれ、賞金は出さないけれども、お礼は言うぐらいのことを言って出すんです。そうすると、みんなが競ってその計算に努力するという歴史があるんです。つまり、計算に強い。今の大学生は、消費税をプラスされると計算もできない人がいっぱいいたという、前回の委員会でも申し上げましたけれども、それではとても教育立国、科学立国にほど遠いということになってしまいます。

 そんな意味で、江戸時代に学ぶということもありますけれども、読み書きそろばん、脳育ということを最後に申し上げて、時間ですので、私の質問を終わります。ありがとうございました。

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第159回通常国会
会期(2004.1.19〜2004.6.16)
文部科学委員会発言INDEX

■文部科学委員会 2号 2004/02/25

留学生問題について、九九・算数教育について、英語教育について
コミュニティースクール(寺子屋教育)について 

■文部科学委員会 14号 2004/04/21

食育の問題について、栄養教諭制度の導入について、
未成年の喫煙防止について

■文部科学委員会 20号2004/5/19

青少年犯罪について、ボランティアについて

■文部科学委員会 26号 2004/06/11

  コミュニティ・スクール法案、栄養教諭法案について
  未成年喫煙について