外務委員会発言集


159回 外務委員会 10号 2004/03/31

○米澤委員長 次に、加藤尚彦君。

○加藤(尚)委員 質問は、三条約についての質問に絞らせていただきますけれども、その前に、条約の訳文についてちょっと指摘をしておきたいし、もし意見があれば聞きたいというふうに思います。

 今回の条約を見ても、小学校の先生と中学校の先生にも見ていただいたんです。そうしましたら、何て下手な、訳文そのものを指摘したんじゃなくて、いわば犬や猫を追っ払うわけじゃあるまいし、し、し、し、しと何でもかんでもつながっているんですよ、流れが。いわゆる訳文そのものについて、やはり国民がわかるような訳文を私は求めたいというふうに思うんです。

 さきの常任委員会で特に私も気になったものだから調べさせてもらったんですけれども、児童売買等に関する児童権利条約に関してですけれども、いわゆる「消費需要」という問題。我が党の筆頭理事の増子先生が相当厳しく怒って、そんな訳でいいのかということをおっしゃっていました。私も、英語に強いわけじゃありませんけれども、大変気になりました。

 よって、専門家にも相談したりして、この訳文について、もっと日本らしい、つまり、物はともかくとして、人間ですから、日本らしい表現はないかということで聞きまくったんです。そうしましたら、いい言葉が結構あるんです。つまり、リデュース・コンシューマー・ディマンドの中に、例えば、リデュースという言葉の中にも、制圧するとか制御するとか、強圧的、強権的に抑え込むという言葉もあるし、あるいはコンシューマーの中にも、制圧するとか完全に占有するとか、そういう言葉もありました。あるいはディマンドについても、物は金次第で何でも所有するという意味もありますけれども、全体的に表現するとすれば、占有欲、所有欲を制圧する、そういう訳し方をしても問題ないというふうに僕は聞いたんです。

 だから、その意味で、ポルノ雑誌とかそういうものは物だから構いませんけれども、でも、人権ということになると、子供たちということになると、やはりこの「消費需要」という言葉について物すごい気になりますから、もし直せるものだったら直していただきたいというふうに思います。

 と同時に、その訳文の中で、条約の訳文なんですけれども、先ほども申し上げたように、ずらずらずらずらと流れて、これは小学校、中学校の作文だったらもう点数は上げられませんよというぐらいのことを言っていましたけれども、英文の方を見ると、セミコロンはいわゆるピリオド、そういうふうに訳してもいいんじゃないかというふうに聞いておるんです。いわゆる点、点、点だから、だらだらだらだら長く続いていますけれども、それをピリオドとしてきちっきちっと切って、一何々、二何々、三何々でやった方が、よりだれにもわかりやすいんじゃないかというふうに思うんですけれども、これは意見として言っておきます。

 今後、英文に限らず語学の訳し方については、やはりそれを見るのは日本人ですから、訳されたものを見て判断するのは国民ですから、その意味で、訳文についてちょっと注文をつけておきたいというふうに思います。

 それでは、質問に入りたいと思います。

 三条約について、まず第一番目に、刑事の共助に関する質問に入るんですけれども、この条約に先立って日米交換公文というのがありますけれども、パウエル国務長官と当時加藤駐米全権大使との間に結ばれたものであります。アメリカの方は、いわゆる日本に対して法務大臣という表現でされておりますけれども、日本側の方としては、法務大臣と国家公安委員長というふうになっているんです。両者のいわばやりとりの書面をどう見ても、もっと簡潔に、わかりやすくということを言っております。つまり、アメリカ側は司法長官でいいわけです、あと関係組織の中で議論していけばいいんですけれども、日本側の場合、戻ってきたときに法務大臣にするのか国家公安委員長にするかということを、大変、やはりアメリカ側から見れば、また戻ってくるわけですから、弱ったなということになってしまうと思います。その意味で、日本側の対応について、どうしてこういうふうになったのか、お聞きしたいと思います。

○門司政府参考人 お答えいたします。

 ただいまのお尋ねですけれども、この条約は、条約の実施に関連して、中央当局を設けるということになっておりますけれども、この交換公文は中央当局の指定に関するものでございます。

 我が国におきましては、まず警察当局が第一次的な捜査機関として、また検察当局が捜査、訴追機関として任務を果たしておりますけれども、条約交渉の過程で、我が国が外国に対して捜査の共助を要請するに当たって、両者おのおのが果たしている役割、あるいはおのおのの我が国の国家行政組織法上の位置づけ、そういったものも総合的に勘案した上で、国家公安委員会と法務大臣、この両者をともに中央当局に指定することが最も適当であるという判断に至りました。したがって、我が国からの共助の請求については、この両者が中央当局ということになっております。

 他方、条約の交渉中、アメリカにしてみれば、我が国が両者をともに指定するのであれば、個別の請求において、どちらが日本国の中央当局になるのかを明らかにしてほしいという要請がございました。したがって、交換公文におきましては、法務大臣それから国家公安委員会、それぞれが中央当局となる場合、どういう場合であるかということを明らかにしたものでございます。

 明確に、ちょっと長いんですけれども、書いてございますけれども、この内容につきましては米国政府側も十分な理解を得ておりまして、交換公文の中においても、アメリカ側から、日本政府によりなされている指定を歓迎するということが述べられているところでございます。

○加藤(尚)委員 それで理解しようと思えば理解するんですけれども、これから、日米だけじゃなくてどんどんほかの国との条約を締結していくだろうと思います。その意味で、この国の事情で相手国に理解させようということは今後無理があるかもしれない。その意味で、これは課題として、一応この場所では理解したという、アメリカが理解したということですから、こちらでとやかく言うことないと思いますけれども、今後の課題として一応指摘をしておきたいと思います。

 それから次に、条約と国内法の見直しについての質問なんですけれども、アメリカは御案内のとおりいわゆる司法取引というのがあります。その司法取引について、恐らく日本側にあれこれ迫られるという、受動的な表現が配付資料の中にもありますけれども、この司法取引を迫られたときに日本はどう対応するか、お尋ねをしたいと思います。

○門司政府参考人 お答えいたします。

 司法取引というのは、確かにアメリカにあるということは承知しております。したがって、アメリカの中でそういうことが行われることはあろうかと思いますが、この条約に基づいてアメリカから日本側に請求が参りました場合、これは、中央当局あるいは関係する権限のある当局が、この条約あるいはこれを実施するための国際捜査共助法という国内法に基づいて適切な判断をすると思いますので、アメリカで行われた内部の事情とそれから我が国に来る請求というのは切り離して考えることができると思っております。

○加藤(尚)委員 えらい早口ですね。一生懸命努力して聞き取りますけれども、時間の節約にもなるから、まあ、そのまま今の調子で続けてください。

 いわゆるアメリカは司法取引がある、これはもう絶対的なものだと思うんです。この国にはないということ、その意味でいえば、むしろこの国も、未来の課題として、このアメリカの言う司法取引をもっと能動的に、場合によったら積極的にと言ってもいいんですけれども、受け入れることを検討してもいいんじゃないかな、まあ、物によるんですけれども。

 そういった意味で、そういういわば受け入れの検討なんかされてきたか、お答えください。

○門司政府参考人 失礼いたしました。

 我が国の司法制度の関連につきまして、私ども外務省の方として、必ずしもお答えするのは適当ではないと思いますけれども、少なくとも、この条約の作成あるいは交渉の過程におきまして、そういった司法取引制度の導入といったことについては話し合われておりません。

○加藤(尚)委員 いや、確かにおっしゃるとおりで、外務省にあれこれ、今度の三つの条約とも、どこを読んでも、もちろん提案省ですから当然お聞きするわけですけれども、関係省庁にたくさんまたがる問題ばかり、今度の三条約について。ですから、後でちょっと聞きたいこともあるんですけれども、やはり閣議でどういう議論をしたのかなと。この三条約を出すについて、外務省が預かって、それで我々に提案するときに、どういう閣議論議があったかを後でぜひ聞かせてもらいたいと思うんです。

 いずれにしても、条約をお互いに論議して、それで締結、締約するんですけれども、当然五分五分だと思います。相手がアメリカであろうとどこであろうと、五分五分だというのは基本だというふうに思います。

 その意味で、アメリカの方で司法取引をしてしまったとか、あるいはしようとしているとかということに対する日本の対応もあるんですけれども、逆に、日本の法律でアメリカに迫ることもなくちゃいけないと思います。例えばこの刑事条約の中で、日本がアメリカに迫ることがあるとすればどういうことがあるのか、あればお聞かせください。

○門司政府参考人 特定の制度その他、そういったものについて相手国に迫るということではございませんけれども、この条約ができましたら、まさにこれは相互的なものでございます。したがって、アメリカから共助の請求が来ることもございますが、日本からアメリカに対して請求が行われるということもあります。そして、この条約によりまして、その共助の内容がはっきりし、またそれが条約上の義務として確実になり、それから、直接当局間で迅速に行われるというこの制度を利用しまして、これまで以上に共助の協力が進んでいくということになると思われます。

○加藤(尚)委員 要するにそうだと思います。

 そういう意味でも、いずれにしても姿勢としては、条約を締結するということは五分五分という強い意識がなくちゃいけない。例えばさきのサイバー条約、民主党は意見書を添付させてもらいましたけれども、サイバー条約は日本で、この委員会で通ったわけですけれども、アメリカは通していないわけです。そういう意味で、アメリカにこのことについて迫っていくのはどうか。これは外務大臣に、副大臣でもいいですけれども、お聞きしたいと思います。質問の意味としては、サイバー条約、アメリカの方では積極的ではないというふうに聞いていますけれども、外務大臣、お願いします。

○川口国務大臣 サイバー条約の締結でございますけれども、これにつきまして、我が国は昨日の衆議院の本会議で御承認をいただいたわけでございまして、今後参議院で御審議をお願いするということになるわけでございます。政府としては、国際的なサイバー犯罪の防止及び抑圧の観点から、早期締結を図るべく、引き続き御理解を求めてまいるという所存でございます。

 アメリカにつきましては、サイバー犯罪条約を、既に二〇〇一年の十一月に署名をいたしておりまして、現在、その締結に向けて準備を進めているというふうに承知をしております。この条約のもとでのサイバー犯罪の防止及び抑圧に向けた国際協力が実効的なものであるために、そのためにも、米国が早期に締結をしていくということは重要でございます。引き続き、米国に対して鋭意働きかけてまいりたいと存じます。

○加藤(尚)委員 ぜひそういうふうに、迫るという姿勢、アメリカにもどんどん物を言っていくよという姿勢を強く求めさせてもらいたいと思います。

 質問の三つ目については、あと二つもありますので、簡単にします。

 アメリカがこの刑事条約について既に四十七カ国と順次条約を締結しているというふうに理解しているんですけれども、さらに国際機関では、いわゆる米州機構、あるいはEUとも結ぼうとしているんですけれども、米州機構についてはもう締結してある、あるいはEUについてはまだ未発効ということなんですけれども、日本も、アメリカが既に結んでいる四十七カ国対応、あるいはOAS、あるいはまだ米国も未発効のEU、このことについて、日本側としては今後どういう働きかけをすることですか。

○門司政府参考人 今回この日米刑事共助条約を結びますと、それからまた関連国内法の整備に伴いまして、我が国として、同じような二国間の条約を今後締結していくための土台というものが整うことになります。したがいまして、今後ほかの国との関係でも積極的に進めたいと思っております。

 他方、どこにするかということにつきましては、たくさんありますから、物理的に一度にすることは無理でございますので、共助のニーズというものを踏まえて優先順位をつける必要があろうかと思います。

 今御指摘の関係の機関等でございますけれども、まず、我が国としましては、具体的にどの国ということでありますと、まだ決定しておりません。しかし、米国以外の国の中では、やはりアジア諸国の中に捜査共助に関するニーズが比較的高い国があると思っておりますので、まずそういうところから始めていくということを考えております。

○加藤(尚)委員 アメリカが既に結んでいるということですから、日本側としても交渉しやすいし、そのためにも在外公館があるというふうに理解しているんですけれども、さらなる努力をお願い申し上げたいと思います。

 確かに、今おっしゃられたように、日中とか日韓とか日ロとか、あるいはASEAN。それで、ASEANは法人格がないということで結びようがないということなんですけれども、ASEANにも、これは重要な指摘だと個人的には思っていますけれども、法人格を持つように努力する、そんな方向性を私は理解していいかどうか、お聞かせください。

○門司政府参考人 ASEANにつきましては、確かに、EUのように、まだ独立して法主体として条約を結んだりするという段階には至っておりません。しかしながら、ASEANをどういう形にするか、あるいは明確な国際法の主体にするかどうかということは、まずASEAN自身が検討されるべき事柄だろうと思っております。

○加藤(尚)委員 ちょっと残念な答えだと思うんですけれどもね。やはり日本の方から、むしろ日本人の人命にかかわることもかかるかもわからないし、相手の国の人命にかかわることもあるわけだから。要するに、積極的にこのASEANとの関係について、昨年の日本とASEANとの首脳会議じゃありませんけれども、あるいは百二十五もある行動計画をいかに実行しようという問題もある、その中にもちゃんと人権という問題もあるわけだから、その意味で、今後の課題にしていただきたいというふうに思います。

 続けて委員長、お願いします。

○米澤委員長 加藤君。

○加藤(尚)委員 たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約について入りたいというふうに思います。

 質問の一つは、たばこ産業、たばこ喫煙者との関係について質問するんですけれども、私は、会館も含めて三つの事務所があるんですけれども、もう十年来禁煙ということで、えらくひんしゅくを買っているんですよ。それで、応援しないなんて言われて、それで何回もおっこっちゃったという経緯もあるかもしれないんだけれども、でも頑張っちゃった。頑張っちゃったんですね、僕は。でも、やっと理解が深まってきたと思います。

 川口大臣も、副大臣も、お吸いになるんですか。(逢沢副大臣「少し」と呼ぶ)少し。少し吸っていらっしゃるんですけれども、いわばたばこについて、議員の皆さんの中にも、吸っていらっしゃる方が結構いるんですよ。だから、僕としても質問はしにくい。しにくいけれども、この条約は、個人的には待ちに待った条約だと私は実は思っているんです。だから、同僚議員ほか、ひんしゅくを買うかもしれないけれども、このたばこ条約は非常に重要だと思っていますので、質問をし続けるんです。

 時間もないから、こちらから質問しながら答えちゃっていく部分もあるんですけれども、例えば、葉たばこ生産にかかわる農家が二万七百五十八人ということでございます。その売り上げは、千九十三億。そして、日本たばこ産業株式会社、その関連グループも含めると、社員は三万八千六百二十八名ということであります。そして、その総売り上げは四兆四千九百二十二億円。そしてさらに、卸売にかかわる業者総数は六百社以上、そして、その総売り上げは四兆百八十七億円です。同時に、小売店となると、三十万店舗ということであります。この三十万店舗については、その売り上げについて、なかなかこれは、何度かお願い申し上げたけれども、出てこない。これからの課題になるというふうに思います。

 少なくともこれだけの人たちがかかわっている。ということは、家族関係も含めると、五十万とも六十万とも関係していらっしゃる人がいらっしゃる。ある意味では、政令指定都市一つ分ぐらいにかかわってくるということになります。

 喫煙者についても、あれこれの資料をまとめてみると、三千百八万人ということですから、まあ四人に一人。子供を抜くと、青少年を抜くと二人に一人ということになるんですけれども、減りつつある喫煙者も、依然として物すごく多いわけです。

 ですから、この条約は大変煙たがられることになるかもしれないけれども、待ちに待ったというふうに申し上げましたけれども、これはたくさんの人たちが禁煙運動、あるいはお医者さんとか歯医者さんとか、もうこの国では数え切れない人たちが禁煙活動しております。そのことはよくよく承知しておらなくてはならないと思います。

 その意味で、今申し上げました数字の中に、財務省は当然大きく当てにしている、あるいは地方自治体でも、神奈川県あるいは横浜市にちょっと聞いてみたら、神奈川県は昨年度で百七十三億円のたばこ税収があったというわけです。貴重な財源だと言っていました。でも、禁止の方向に行くだろうと。ですから、神奈川県庁は、公館と言われるものについてはどんどん縮小しているし、吸う場所を少なくしているということを言っていらっしゃいました。減っていくのを覚悟しているということでありました。一方、横浜市の方も、平成十五年だと二百二十三億円の税収があったということで、これも貴重な財源だと。だけれども、だんだん減っていくだろう、減っていく中でどういう対応があるかということを言っていらっしゃいました。

 最近話題になった千代田区ですけれども、ポイ捨て条例を厳しくやっている千代田区も徐々に減っていると。減っているけれども、平成九年が五十億円で、例えば昨年だと三十九億円というから、十億円も減っちゃったというから、一つの区政の中では大きな意味があるけれども、これは別にポイ捨て条例を積極的にやっているから減ったのではないという意気込みがありました、千代田区の方で。これは、だんだん吸う人が少なくなったという受けとめ方をして、それにかわる財源というものをやはり独自に努力しなきゃならないというふうに言っていらっしゃいました。

 そこで、総売り上げ四兆五千億というんですね。その四兆五千億の中に、実は青少年ですね、ここに重要な問題があるんです。

 先ほども、朝の質疑の中で、自動販売機のことが触れられていましたけれども、四兆五千億の中の、一体法律で禁じられている、規制されている子供たちの数を、これはまあデータはいろいろなんですけれども、一〇%を超えるというデータもたくさんあるんです。ということは、四兆五千億のたばこの総売り上げの中で一〇%だけでも物すごいお金なんです。そうすると、財務省は、恐らく青少年がたばこを吸うことを喜んでいるとは思わないけれども、えらい税収の一つということを言わざるを得ないわけですよ。

 その後またいろいろ質疑をしたいと思いますけれども、そこで、川口大臣、急に振って申しわけないんだけれども、例えば、このたばこ条約も外務省が提案したわけですからお聞きするわけですけれども、たばこそのものは、日本の国内において、税収もそうですけれども、あるいは影響もそうですけれども、これは厚生省も、取り締まるという意味では警察庁も、あるいは当然提案省の外務省もそうですけれども、いわゆる多岐にわたっているわけです。物すごく多岐にわたっている。そこで、閣議で、外務省は当然条約ですから当番省ですけれども、閣議でこれは議論されたかどうか、ちょっとお聞かせください。

○川口国務大臣 私の記憶ではございません。

○加藤(尚)委員 残念なんですけれども、これは関係省庁がたくさんあると思っています。条約を結ぶ、あるいは締結するということは、国家の未来を決めるということなんです。どうも釈迦に説法で恐縮なんですけれども、その意味で、一つ一つの条約は直接かかわりないことが今回の条約は多いんですけれども、でも当番省庁として、その決心、決意というのがどうしても必要なんです。どうしても必要なんです。さきに言った、冒頭に言ったポルノ関係の買春とか、その関連で「消費需要」という言葉のこともそうなんだけれども、やはり条約を結ぶというのは約束事だから、各国間で、国際社会の中で。だから、物すごい熱心さが必要なんです。

 しかも、たばことなると、税収そのものが、財務省はどんどんまだ売りたいんです、本当は。売らないと税収が上がりませんから、ましてや今度の国家予算を見ても、税収の落ち込みが甚だしいものだから。

 だけれども、これは減らざるを得ないということの一方で、それを願いながらも、実は意外に、たばこで、いわゆるたばこの害で、厚生労働省の試算ですからはっきりしたことはわかりませんけれども、約五兆円が医療費として使われているというんです、たばこでね。がんの治療とか、あるいは目とか胃腸とか、いろいろな治療で、総額すると五兆円と言われているんです。

 だから、この国では、EUじゃありませんけれども、もう一切禁止の方向で行っちゃうよということであれば、そのまま医療費が浮いてくるということになるから、決して、損得勘定からすれば、確かにたばこの税収は減るけれども、一方で、医療費、つまり厚生労働省の方の予算というのは大分組み替えることができるというふうに僕は思っています。その意味で、閣議での議論は私は強く必要だと思っています。

 その意味で、外務大臣、話題に出してくれませんか。

○川口国務大臣 最近ですと、数十件の案件が閣議を通り過ぎるわけでございまして、なかなか一つ一つについて議論をするというのは難しいかという気が私は個人的にはいたしております。

 いずれにしても、これにつきまして、日本は消費国でもあり、また同時に生産国でもあるということがあるわけでございまして、日本が、外務省といたしましては、これが日本としてこの国際的な取り組みの枠組みをつくっていくということについて、その積極的な姿勢を示していくということは有意義であるというふうに思っています。

○加藤(尚)委員 確かに、国家の議論するところですから、優先順位がいろいろとあると思います。意外にたばこのことは大きな大きな問題だというふうに私は理解していますので、外務大臣も、どうか、心の片隅というか頭の片隅にぜひ置きながら、対応の機会をねらっていただきたいというふうに思います。

 続けて、たばこについて質問に入るんですけれども、たばこ事業法に関する質問に入りたいというふうに思います。この条約は、当然、内国法、つまり国内法を整備しなくちゃならないことがたくさんあると思っています。

 このたばこ事業法なんですけれども、これは、国際社会の中でも先駆けて、その法律は昭和五十九年ということでありますけれども、これにかかわって、財務省の方については、たばこ製造、流通、販売、それから、それこそ川上から川下までということで、多岐にわたる、いわゆるかつての得意な護送船団方式で保護をしてきたんですけれども、これから変わらざるを得ないというふうに思っています。

 そんな意味で、このたばこ事業法、この条約に関連して、財務省の方の方針といいますか、何か変わった、対応した政策が出たかどうか、教えてください。

    〔委員長退席、末松委員長代理着席〕

○大前政府参考人 お答え申し上げます。

 この条約の内容は、各国の実情を踏まえまして、たばこの包装への健康に関する警告の表示、たばこ広告の規制、受動喫煙の防止、未成年者に対するたばこ製品の販売を禁止するための措置、これらを通じまして、たばこの健康に対する悪影響を減らして、人々の健康を改善することを目指すものでございます。

 財務省といたしましても、これまで関係省庁と意見交換を行いつつ、本条約の規定の対象となっております事項を措置いたしますために、たばこの包装への健康に関する注意表示の義務づけ、たばこ広告の規制等につきまして、たばこ事業法の省令の改正等によりまして対応してきたところでございます。

 このように、財務省といたしましては、現行法のもとで条約に適切に対応してきたと考えておりまして、引き続き条約の趣旨も踏まえまして、たばこ事業に係る行政を行ってまいりたいと存じております。

○加藤(尚)委員 今財務省の方から御説明があって、私、たばこ、とうにやめましたので見なかったんだけれども、きのうたばこを買ってきたら、広告の欄に「あなたの健康を損なう」というように、ほんの少々書いてありますよ。

 それで、今度の条約を見ると、三〇%以上ということになるんですけれども、私は、この質問をするに当たって、だれがどう聞いたかわかりませんけれども、反対運動を起こしている人が、いい資料といいますか、見せてくれました。それで、できれば外務委員会の皆さんにお配り申し上げてほしいと言われたんだけれども、手続上、ちょっと間に合いませんでした。

 この写真、当然持っていらっしゃると思いますけれども、各外国の広告規制たるや、後でどうぞ見てください。物すごく驚愕するようなことが、これを見ながらこうやって、例えばこれだと吸っても楽に吸えるんですよ。ところがこっち見ると吸えないですよ。だから、吸う人はポケットにたばこを入れて、ポケットからたばこを出して吸うんだそうです、箱を見ると怖いから。そういうふうに冗談みたいなことを言っている人がいたけれども。

 いずれにしても、広告規制ということが当然大きなテーマになるんです。それで、広告テーマということになると、財務省としてはこれを積極的にたばこ会社に指導しなくちゃならぬ。そういう意味で、そういうスタートを既に切ったかどうか、お聞かせください。

○大前政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御質問は、たばこ広告に関する御質問ということでございましょうか。今般、たばこ事業法第四十条に基づきます製造たばこに係る広告を行う際の指針の全部を改正いたしまして、現在も業界の自主規制において規定されております、テレビ、ラジオ、インターネットなどにおきますたばこ広告の禁止、及び新聞、雑誌などについての、主として成人読者を対象としたものへの制限、これらを定めますとともに、新たに、駅や建物上の屋外広告の禁止、電車などの公共交通機関の車両におきます広告の禁止、日刊新聞紙におきます広告の量的制限や掲載面の制限、これなど、幅広い規制を行うこととしたところでございます。

○加藤(尚)委員 テレビでここのところちょっと目にしていないんですけれども、いわゆる今のおっしゃられることは理解するんですけれども、そういうふうに全く私も感じているんですけれども、いわゆる喫煙マナーといいますか、このたばこにも「喫煙マナー」と書いてあるんですよ。

 この喫煙マナーというのは、テレビでも今でも流れているような気がするんですけれども、あるいは広告で見ているんですけれども、いわゆる喫煙マナーという表現は、上手に吸ってくださいよ、上手にうまくたくさん吸ってくださいよという意味にもとりかねないんです。ですから、喫煙マナー論も実は規制にならないんです、逆に。むしろ逆に推進しているように僕らには受け取れて仕方がないんだけれども、その辺はどうですか。どう受けとめていいですか。

○大前政府参考人 ただいま御質問のございました喫煙マナーの向上を提唱する広告につきましては、一般的に、たばこ製品の販売またはたばこの使用を促進するとは考えにくいために、今般定めました広告に関する指針の対象外としております。ただ、喫煙マナーの広告の名前をかりまして喫煙を促進することを目的とするような広告につきましては、指針の対象となり得るものと考えております。

○加藤(尚)委員 その辺が、そういう説明だろうと思いますけれども、よくよく見れば、そういうことなんです。やはり、うまくやってくださいよ、上手にたくさん吸ってくださいよということにとりかねない。

 もう一つ、これは大事なことだから、さすが財務省は直ちに、この条約の発効に合わせて先ほどおっしゃられたように製造たばこに係る広告を行う際の指針というのを出されたわけですよ。この対応は物すごく素早い、さすがに。それはもう評価します。それを出すならもう一つ、製造たばこに係る販売を行う際の指針ということが僕は必要になってくると思うんです。この方向性では検討されていますか。

○大前政府参考人 たばこの販売に関する規制といたしましては、現に、未成年者の喫煙を防止する観点から、未成年者喫煙禁止法がございます。ここにおきまして、未成年者の喫煙及び未成年者であることを知ってたばこを販売することが禁じられておりまして、また、販売者に対して年齢確認等が義務づけられているところでございます。

 こうした、未成年者喫煙防止の観点からのたばこ販売の規制は、私ども、たばこ事業にかかわる行政においても重要な課題であると認識しております。

 この点でございますけれども、たばこの小売販売につきましては、たばこ事業法におきまして、「財務大臣の許可を受けなければならない。」とされております。また、許可に際しては、財務大臣は条件を付することができるとされております。

 こうしたことを踏まえまして、自動販売機でのたばこ販売を行おうとする者に対しましては、当該自動販売機を十分に管理監督が可能と認められる場所に設置するよう条件を付した上で小売販売業の許可を行っておりまして、現に適切な対応を行ってきているものというふうに考えております。

○加藤(尚)委員 地方自治体も税収が減っていくだろうと予測しているんですよ、実はもう既に。そして、その対応について、私も先ほど申し上げたように、たばこを吸う害、そしてそれが医療費に結びつくということと照らし合わせれば、地方財政の方も頑張れるんじゃないかということを言う、そういう公務員もいまして、えらい前向きな話だなというふうに実感いたしました。

 今、青少年法に関係するんですけれども、例えば、自動販売機のことも先ほどありましたけれども、コンビニの前あたりに夜遅くまで子供たちがたむろしている、これはいろんな人から聞いたから間違いないと思うんですけれども、たむろして、お酒飲んだりたばこ吸ったりしているんです、現実に。例えば神奈川県では、青少年保護条例というのが、立派なものをつくられて、そしてすべての中学生の子供たちに配っているんです。さらにそこで小学校高学年までということを言っておるようであります。県とか市、つまり自治体で子供たちを守ろう、そういう意気込みについて、結構予算も人も使っているんです。

 そういう、そうだけれども、取り締まりということになると、法律だからやはり関係局がやってくれないとどうにもならぬという。ところが実際に、時々新聞とかテレビで、コンビニで未成年者にたばこを売った、そして、売った店を注意したとか、あるいは、いわゆる店を一時期閉めさせたとか、そんな話があるんですけれども、実際に、申し上げましたように、コンビニの前に子供たちがたむろして、お酒は飲むはたばこは吸うはだ。先ほど冒頭言ったように、五千億も使ってくれちゃっている。

 そういうことからすれば、これから、青少年の取り締まりについて、手っ取り早い方法は、もちろんたばこ会社もいろいろなことで努力しているんです、財務省から言われて。あれこれ厳しい指導を言うから、ありとあらゆる知恵を絞っているようだけれども、現実問題として実効が上がらない。そうなると、子供というのは、国の宝だし、私たち一人一人の貴重な、やはり将来を担う人たちですから、その意味で、ありとあらゆる知恵を絞って守らなくちゃいかぬというふうに思います。

 その意味で、お酒やたばこの自動販売機、これは、現に規制とかそんなことじゃとても無理だから、だからやはり販売禁止の方向にということになって、それで先ほど申し上げましたように、販売を行う際の指針というのは、どうしても関係省庁の財務省が、ここまで踏み込んだ決心をしなきゃいけないと思いますけれども、もう一度お伺いします。

    〔末松委員長代理退席、委員長着席〕

○大前政府参考人 販売に関する指針でございますけれども、先ほど御答弁申しましたように、法律で小売販売について許可制度があり、その許可の付与に当たっては条件を付することができる、その法律の規定に基づきまして、自動販売機の設置につきまして、設置場所などの条件を付した上で許可を行ってきているところでございます。

 なお、こうした設置の際の条件が守られていないものについては、小売販売許可の取り消しを含めた適正化の指導を行っているところでございまして、これまで私どもが法律に基づいて行ってまいりましたこうした対処の方法、今の現行法を前提とすれば、適切な対応ではないかというふうに思っております。

○加藤(尚)委員 厚生労働省はもちろん健康を守る省庁だから、非常に大きく感動したんですけれども、厚生労働省は、すべて自動販売機あるいは吸う場所、全部、撤去、撤廃したんですけれども、外務省の中でたばこの自動販売機ありますか。

 どなたでもいいです。大臣じゃなくていいですよ。どうぞ。

○門司政府参考人 私はたばこを吸いませんけれども、自動販売機のコーナーがあるということは承知しております。

○加藤(尚)委員 隗より始めよじゃないけれども、これだけの条約を提言するわけですから、検討、これから話し合ってください。

 公官庁も含めてですけれども、我々、国会もそうなんですよね。あるいは議員会館もそうなんです。議員会館の地下食堂なんというのはもうもうとしちゃって、というふうに思うんです。それは我々の問題ですから、我々でこれから議論していかなくちゃいけないと思います。

 委員長、三つ目の無形文化財、これ、一番僕は関心があって、それで一番ラストに持っていって頑張ろうと思ったんだけれども、時間がありゃしない。だから、ある時間内で御質問したいというふうに思います。

 この無形文化財については、当然文科省、文化庁がかかわってくるということでありますけれども、この発効にはまず何カ国必要でしょうか。簡単で結構です。

○近藤政府参考人 この条約の発効には三十カ国の締結が必要でございます。

○加藤(尚)委員 御説明では、アフリカのアルジェリア、そこが提案国みたいになっているんですけれども、もう残念無念と思ったですね。これは、日本の有形無形、まあ有形というとどっちかというと欧米中心だから、無形こそ日本が率先して国際社会の中でアピールしなきゃいけないというふうに思っていましたから、無念残念だけれども、遅くない。だから日本が率先して、いわば、三十カ国以上どころか世界に、この無形文化財というのはもともとアジアから日本に有史以来伝わってきて、それで日本にも定着して、それがいかに生活文化の中で、いわゆる日本の教養文化に大きな意味があることは、もう説明するまでもありません。

 その意味で積極果敢に条約国をどんどん説得していく、特に近隣、そしてASEANと思いますけれども、いかがでしょうか。

○近藤政府参考人 加藤委員御指摘のごとく、我が国は無形文化遺産の先進国でございます。そういうことで、この条約の締結にもずっと主導役を果たしてまいりました。今後は、この条約が一刻も早く発効するように、途上国、特に多くの文化遺産を抱えておりますアジアの近隣国を中心に働きかけを強め、我が国のこの分野における主導力を引き続き発揮していきたいというふうに考えております。

○加藤(尚)委員 だからこそ、たびたび私は、この外務委員会に立つたびに在外公館ということを言っているんです。だから、在外公館挙げれば、それらが本当に立ち上がれば、早く実効が出ると思います。

 文化財保護法というのは、僕はこれを見ているんですけれども、昭和二十五年ということになっているけれども、過ぐる明治四年というふうに資料の中にも書いてありますけれども、まさに先達、つまり、日本の文化財保護に対しては大きな過去の歴史がある。それをもってして、それこそ総理の言うODA戦略じゃないけれども、このいわゆる文化戦略こそ日本の最大の武器だし力だと私は思うんです。つまり、武器的な力よりも、むしろ文化的力を一層大きくこの機会にしなくてはいけません。

 その意味で、この発効についてさらに手早く期待するんですけれども、最後に外務大臣、この無形文化財について日本が率先して、世界的な、国際社会の中での、あるいは近隣諸国への役割を担わなくちゃいけない、つまり、歯ぎしりしてやらなくちゃいけないというふうに、それが日本の国力に通じると思いますけれども、大臣のお考えをお聞きして終わりたいと思います。

○川口国務大臣 無形文化財の遺産条約が成立する過程に当たっては、我が国としては非常に積極的にイニシアチブをとってきたわけでございます。そして、我が国の無形文化遺産の保護という意味では、我が国は、世界に率先をしていい制度をつくって、それを実際に動かしているということでございます。そういった我が国の知見、これを生かしまして、国際協力を行い、世界において無形文化遺産の保存をしていくということについて貢献をしていきたいと思います。

○加藤(尚)委員 どうもありがとうございました。

○米澤委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会します。

    午後三時五分散会 

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第159回通常国会
会期(2004.1.19〜2004.6.16)
外務委員会発言INDEX

■外務委員会 6号 2004/03/12

敵国条項について、北朝鮮問題について、ASEANについて 

■外務委員会 10号 2004/03/31

児童権利条約について、世界保健機関枠組条約について、無形文化財について 

■外務委員会 15号 2004/04/28

日本とASEANについて 

■外務委員会 20号 2004/06/02

日本政府が結んだ協定について、在外選挙人の投票について、国連大学高等研究所について、国立国際会議場について、 日露平和条約について